特集

宮城の雑誌クロニクル

かつて宮城県にあった様々な地域誌について、それらが生まれた背景や、時代ごとに発信されきたものごとについて、株式会社プレスアート 取締役川元茂氏がまとめた連載です。

かつて宮城県に80以上存在した、文芸誌、オピニオン誌、タウン誌、音楽誌、カルチャー誌、ファッション誌、グラビア誌などの地域誌。これらは、街の変化と市民の声をいまに伝える貴重な資料であり、文化遺産でもあります。インターネットがない時代に、地域情報発信の一翼を担っていた雑誌がどのようなコミュニケーションの場だったかを掘り下げます。

※掲載情報は当時のものです。

作者:川元 茂(株式会社プレスアート 取締役)

  • 【宮城の雑誌クロニクル】2.ロック雑誌『Easy On』と振り返る仙台の13年

    前回1970年代後半にタウン誌創刊ブームが起き、全国に300以上のタウン誌が存在したと書いた。特に1978年の仙台は、1月に『グラフ寒つばき』、4月『けやきの街』、6月『月刊エミネント』、7月『街の灯り』、8月『Easy On』、9月『月刊YES or NO』と6誌が創刊され、雑誌文化が花開いた年だった。本稿では、その中でもROCK MAGAZINEを謳い、仙台から音楽文化を発信し続けた『Easy On(イージーオン、のちにEazy Onと改名。以下EO)』を取り上げたい。 1978年8月の創刊から1991年4月号の休刊に至るまで、実に13年、通巻106号にわたって発行を続け、多くの有名ミュージシャンが表紙を飾った。全国的にも珍しい地方のロック専門誌が、なぜ仙台で生まれ、どう維持され、どんなムーブメントを生み出したのか。創刊編集長・岩渕純一さんが記した言葉や、発行人兼編集人として長きにわたり雑誌を支えた2代目編集長三浦マサヨシさんのコメントを交えながら、EOが駆け抜けた“仙台とロックの13年”について記したい。