特集

たてものから仙台を味わう・楽しむ

仙台の市街地には多くの建物とともに豊かな自然環境があり、これらが一体となって仙台という街を形作っています。当たり前の風景として何気なく目にしているものの中にも、あまり知られていない魅力や価値を持ったものも少なくありません。
この特集では「たてもの」をテーマに、4名の方に建物の魅力、風景・景観、素材、人々の暮らし、そしてそこから考える仙台について聞きました。

仙台市は、仙台駅周辺を中心に新しい建物が次々にあらわれ華やかな顔を見せる一方、定禅寺通りのケヤキ並木や、広瀬川、青葉山など豊かな自然も感じられる街です。市民の暮らしと共に親しまれてきた建物や景観などが多くありますが、建て替えや再開発のために失われたものや、間もなくその姿が見られなくなるものも少なくありません。まちの歴史や素材、そこに暮らした人々といった切り口から「たてもの」を見つめ直すことで、仙台という街がもつ個性や文化を再発見するとともに、この街の未来の姿について考えます。

  • まず見ること、好きになることから建築文化を育みたい—建築家・菅原 麻衣子

    公共建築から神社仏閣、そしてオフィスや病院まで。仙台を中心に広く宮城の建築を網羅した建物ガイドブックが昨年発刊された。『SENDAI/MIYAGI The Architecture Map -仙台/宮城 建築マップ-』は、普段の生活の中で見過ごしてしまいそうな建物を紹介し、設計者の意図を伝えている。菅原麻衣子さんは、建築家としてこの地に建築文化を根づかせたいという願いから、この冊子を構想した。建物とは何だろう。お話をうかがっていると建物と私たちの関わりが浮かび上がってきた。
  • ランドスケープから仙台をみる

    「杜の都」とうたわれる仙台。『杜の都・仙台 わがまち緑の名所100選』ガイドブックなどもつくられ、広瀬川と青葉山を中心に自然に恵まれた「水と緑の都」とも言われる都市です。それらの資源を十分に生かし、仙台らしい美しい景観をいつまでも保つために、どのように向き合っていきたいか。造園家として、このまちの「ランドスケープ」について考えます。
  • 玄い石盤の小さな旅―宮城県産スレートのある風景をたどって―

     宮城には「スレート」(和名「石盤」)と呼ばれる建築石材の産地がある。天然の石なのに薄く割れ、曲げに強く、永い年月が経っても変質しないスレートは、明治以降に洋風建築の屋根に用いられるとともに、大正そして昭和戦後にかけて、とくに宮城県北から岩手県南にかけて民家に広まった。産地の中心は石巻市雄勝(おがつ)町で、その色は黒灰色。つまり玄(くろ)い色調から「雄勝玄昌石(おがつげんしょうせき)」と名づけられ、広く普及した。  そんな「玄い石盤」の歴史をたどりながら、仙台・宮城においてそれが今どう残されているか、またはなぜ見られなくなったかを、ゆかりある場所をめぐりながら考えてみたい。
  • 街角の建物の「いま」を淡々と写してきて思うこと

    2001年にスタートして約20年。目標枚数を1万枚と定め仙台の街角の風景を撮り続けたプロジェクト「仙台コレクション」が、2022年に完遂した。目標を達成したあと、仙台文学館で2023年1月21日から3月21日まで開催された『写真展 仙台コレクション2001~2022 1万枚のメッセージ』は、連日、大勢の市民でにぎわった。このプロジェクトを呼びかけ中心となって活動してきた伊藤トオルさんは、いまこの中から100枚をセレクトした写真集を計画中という。膨大な写真のストックを前に、伊藤さんの中には仙台の街や建物についてどんなイメージが広がっているのだろう。街を歩きシャッターを押し続けた、その思いをうかがった。