仙台市は、仙台駅周辺を中心に新しい建物が次々にあらわれ華やかな顔を見せる一方、定禅寺通りのケヤキ並木や、広瀬川、青葉山など豊かな自然も感じられる街です。市民の暮らしと共に親しまれてきた建物や景観などが多くありますが、建て替えや再開発のために失われたものや、間もなくその姿が見られなくなるものも少なくありません。まちの歴史や素材、そこに暮らした人々といった切り口から「たてもの」を見つめ直すことで、仙台という街がもつ個性や文化を再発見するとともに、この街の未来の姿について考えます。
まず見ること、好きになることから 建築文化を育みたい
公共建築から神社仏閣、そしてオフィスや病院まで。仙台を中心に広く宮城の建築を網羅した建物ガイドブックが昨年発刊された。『SENDAI/MIYAGI The Architecture Map -仙台/宮城 建築マップ-』は、普段の生活の中で見過ごしてしまいそうな建物を紹介し、設計者の意図を伝えている。菅原麻衣子さんは、建築家としてこの地に建築文化を根づかせたいという願いから、この冊子を構想した。建物とは何だろう。お話をうかがっていると建物と私たちの関わりが浮かび上がってきた。