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仙台文化施設誕生ものがたり

昭和20年代に仙台に誕生した、自然科学をテーマにした3つの文化施設。その設立に尽力した“加藤三兄弟”の物語について、フリーライターの西大立目祥子氏がまとめた連載です。

戦後、荒廃した仙台の丘陵地の草花を保護しようとつくられた「仙台市野草園」。「子どもたちに本格的な天体観測の機会を」とつくられ、やがて全国の天文ファンの聖地にもなった『仙台市天文台』。今も「科学館学習」という本格的な実験の機会を市内の全中学生に用意している『仙台市科学館』。この3施設に携わった加藤多喜雄・愛雄・陸奥雄兄弟の思いをたどります。

※掲載情報は当時のものです。

作者:西大立目 祥子(フリーライター)

  • 【仙台文化施設誕生ものがたり】1.仙台市野草園 ─それはひとりの科学者の危機感から生まれた

    仙台市では、昭和20年代に自然科学に触れる3つの文化施設が誕生した。仙台市野草園、仙台市天文台、仙台市科学館の前身サイエンスルームである。その設立に尽力したのが、東北大学教授として活躍した加藤多喜雄、加藤愛雄、加藤陸奥雄の3兄弟(*)だった。この稿では、3回にわたり、その開設の物語をひもといてみたい。
  • 【仙台文化施設誕生ものがたり】  2.仙台市天文台  ─それは、科学者の呼びかけと市民の募金でつくられた

    小さな望遠鏡で月を望むも、風に揺らされちっとも見えない。肩を落とす子どもたちを前に、加藤兄弟の次男、加藤愛雄(よしお)先生は決心する。市内に一つ、天体観測のできる本格的な望遠鏡を、と。小中学生、高校生をも巻き込んだ運動は、かつて西公園にあった仙台市天文台として結実し、やがて全国の天文ファンの聖地となっていった。
  • 【仙台文化施設誕生ものがたり】3.仙台市科学館 ─それはわずか36坪の小さな実験室から生まれた

    空襲で焼け野原となった勾当台に続く丘の上に、仙台市のレジャーセンターが建設されたのは昭和27(1952)年のことだった。このとき館内に体育館やベビーホーム(精神衛生相談所)とともに、科学館の前身となるサイエンスルームが創設された。加藤多喜雄、愛雄、陸奥雄の三兄弟は、この施設の運営と発展にも力を尽くしている。