演劇事業を中心に、私が知っている範囲で時系列にそってお話します。
2020年2月頃、新型コロナウイルス感染症については、ニュースの中の世界で、まだ県内での危機感は薄かったです。2月初旬に「劇団ごきげんよう」(※)の学校公演が普通に実施できました。ところが、2月末になって、高校生を対象とした創造事業「いわきアリオス演劇部」の公演の稽古をしている最中に、3月2日から全国の小中学校、高校、特別支援学校が一斉に臨時休校になるというニュースを知り、そこから急激に慌ただしくなりました。
3月の1週目に「いわきアリオス演劇部」の公演を予定していたのですが、臨時休校になり、前例がなくどのように判断したらよいか大変迷いました。今なら、即中止という判断なのでしょうけど、当時はその判断すらして良いのかどうか、十分な情報がなく判断に苦慮しました。
もちろん、当時も中止という選択肢もありました。参加者が小中学生であれば、義務教育なので中止は致し方ないと思います。しかし、この年の参加対象者は高校生で、高校は義務教育ではありませんし、高校生たち自らの意思で参加している活動です。そこでまず、参加している高校生たちの気持ちを聞くことにしました。そして、参加者の学校にも連絡して相談しました。結論として、みんなやりたいという意見でした。
そこで、みんなで話し合って、とにかく無観客で上演だけはしようということになりました。参加者は未成年なので、保護者の同意も必要です。こちらで同意書を作って、今後のスケジュールや稽古の方法を共有しつつ、保護者の方のご意見をいただきました。その時点で数名の参加者は辞退されましたが、ほとんどの参加者の保護者・学校に署名してもらって、なんとか上演の了承を得ることができました。
※「劇団ごきげんよう」
2015年、リージョナル・シアター2015「わたしの人生の物語、つづく。」にて結成。
いわきで暮らす10代から70代のメンバーが活動を続けている。いわきの様々な地域に、「ごきげんよう」と挨拶しながら訪れて、そこに住む方のお話を聞き、演劇を通じて地域と人に潜む人生の物語を届けている。演出は宮崎県の「劇団こふく劇場」代表の永山智行さん。