Q. この作品について教えてください
映画『君の膵臓をたべたい』は、他人と深く関わらないどこか達観した主人公と、膵臓の病で余命わずかなクラスの人気者であるヒロインの2人を中心にストーリーが紡がれる、住野よる先生の小説を映画化した作品です。私は原作も映画も好きですが、映画は実写だからできるアレンジと、小説へのリスペクトを感じる映像となっている点が気に入っています。
Q. この作品と出会ったときのこと、出会ってからの変化などを教えてください
大学を卒業間近の頃で、やりたいことは既に見つけていたのですが「思うようにいかないな」と悶々と過ごしていました。
当時、私の中に強くあったのは、社会への違和感です。それは、「普通に生きているだけでは幸せになれない」、「賢く生きろ。それができないなら、苦しくても自己責任だ」と突き放されているかのような空気感だったと思います。
一筋縄では解決できない問題ですが、その中でも自分にできることは何かないかと考えました。悩み抜いた末にたどり着いたのが、「無理しなくても、同じ地域に住む人たちがつながっていられる仕組み」が地域に必要だという考えです。それを具現化するための手段が、私にとっては「服シェア」だったのです。「服シェア」とは着なくなった服を持ち寄り、自由に交換・共有する取り組みや体験そのものです。
その「服シェア」をベースに「仙台リファッションデー」という、洋服の廃棄削減や地域交流を目指したリユース・リサイクルイベントを開催しました。
正直に言えば、「服と地域をつなぐ」というこのアプローチは、他人に説明するのが本当に難しく、時間もかかります。「服を好きだから服シェアやっている」くらいで動けていたらまた違ったのかな、なんて思いますが、私はこれが人生でやるべきことだと思ってしまったので他の仕事もしながらですがずっと続けています。
この映画と出会った当時、「いつ死んでも後悔しないように生きるべき」と考えながらも、「まだ時間があるから」と、どこかでアクセルを踏み切れないでいたようにも思います。そんな自分だったから、この作品が刺さったのかもしれません。
最初は、インパクトのあるタイトルに興味を持ったのですが、他人と深く関わらないことがアイデンティティとなっている主人公の佇まいに私自身がリンクしました。パッとしない現状を、ヒロインのようなキラキラした存在に壊してほしいとも思っていたので、終盤まで気持ちのいい作品として観ることができました。その分、ヒロインがいなくなる瞬間のさみしさや主人公のすがたが強く深く心に刺さったことをいまでも鮮明に覚えています。
この作品は「今ある日常と、目の前にいる人やモノとの時間は決して永遠ではない」という当たり前を一段階深く心に刻んでくれて、「今を一所懸命に生きよう」という気持ちにさせてくれました。
「なんだかうまく生きられない」「あと一歩頑張りたい」と思っている人にぜひ観てほしいです。今すでに持っているモノの大切さや有難さを、優しくも痛烈に想起させてくれます。観た人の心を内側から支えてくれる作品になってくれると思います。

自分が思いきって動きだしたからこそ、ファッションを通じての交流の場や繋がりがうまれたので、「やっぱりやってよかった」と思えた時の写真です。

