Q.この作品について教えてください
みかわ絵子先生による作品で、現在、集英社『少年ジャンプ+』で連載中です。中学球界で名を馳せるも野球から遠ざかっていた天才たちが、都立の野球無名高校で偶然出会います。登場人物は、完全無欠の剛腕投手・清峰葉流火(きよみね・はるか)と、切れ者捕手の“智将”・要圭(かなめ・けい)の怪物バッテリー、そして、かつて2人に敗れ散った者たち。ただ、要圭は記憶喪失になっていて、野球に関する知識を失っていました。そのことに困惑するかつての敵達ですが、以前とは違う要圭を主軸として、再び彼らの高校野球ストーリーが始まる、という内容です。
Q.この作品と出会ったときのこと、出会ってからの変化などを教えてください
2014年に喜久屋書店仙台店にアルバイトとして入り、勤務歴が11年目になろうとしていた時期でした。私は主に店内の装飾作りを担当していましたが、スタッフの入れ替わりなどもあり、売り場の仕事も増えていました。装飾作りは、1つのコーナーを作り上げるのにある程度の時間が必要なため、装飾のクオリティを落とさずに売り場の仕事と両立させることが大変で、なかなか思うようにいかず悩んでいた時に、この作品に出会いました。
要圭というキャラクターがとても魅力的で、一気に作品に引き込まれました。スポーツ漫画といえば、主人公がかっこよくて熱い展開が多いと思いますが、この要圭は王道の展開をことごとく裏切っていきます。ギャグ要素がふんだんに盛り込まれていて、肩の力を抜いて楽しく読めるのはもちろん、コンプレックスやトラウマを抱えた他のキャラクター達が、陽気な要圭のペースにのまれながら、自身の過去を克服していく様子に引き込まれます。
この作品から私は、“時には肩の力を抜き、自分自身が楽しむことを忘れてはいけない”ということに気づかされました。本作の中で、要圭が一から野球をスタートさせ、その楽しさに気付くシーンがあります。このシーンはとても印象深く、私が書店の装飾を作り始めた頃に感じていたワクワク・ドキドキした気持ちを思い出させてくれました。仕事に追われているとつい忘れがちになりますが、「自分が楽しめていなければ、お客様にも楽しさは伝わらない」というメッセージを、この作品から受け取りました。
私のように、毎日何かに追われ悩んでいる方に、ぜひ読んでもらいたいです。忙しいと目の前の事でいっぱいになってしまい、本来楽しかったことが辛いことに変わってしまったという方もいるのではないでしょうか。そんな時にこの作品を読んで、ギャグシーンに笑い、そして、楽しむことの大切さをあらためて感じてもらえたらと思います。
