インタビュー
日々ともにある
実用と装飾の仙台箪笥

暮らしの道具として使われている仙台箪笥(たんす)を見る機会は、あまりない。しかも、押し入れに据え付けられた仕込み箪笥となると、なおのこと。どうすれば愛用されている箪笥と出合うことができるのか。人から人へ、手がかりを頼りにお願いし、仕込み箪笥を使っているお宅に伺うことができた。訪ねたのは、鹽竈(しおがま)神社の門前町にある味噌醤油醸造元である荻原勝さんのお宅。当日は、室内意匠と生活道具の歴史がご専門で、仙台箪笥にも詳しい東北工業大学名誉教授の庄子晃子先生にご同行いただいた。箪笥を前に語り合うと、そこには何代にもわたる家族の歴史の思い出が……。箪笥を通して、家族の幸せを願う思いまでうかがい知る貴重な機会に恵まれた。
(監修:大谷美紀)
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掲載:2025年2月12日
取材:2024年9月
取材同行/庄子晃子(東北工業大学名誉教授) 取材・原稿/大谷美紀 写真/寺尾佳修

- 荻原 勝 おぎわら・まさる
- 江戸後期に建てられた築約170年の母屋とともに、明治前期に作られた仙台箪笥を受け継ぐ。1888(明治21)年創業の荻原醸造を継いだ約35年前、箪笥を居間の中心にしつらえたことで、心が落ち着く空間に。箪笥の上部にある神棚には、毎朝のお参りを欠かさず、七五三や法事なども箪笥の前で行う。使い込んだ箪笥の色つやを大切に、から拭きしつつ金具の細工にも目を見張る。出かけた先でも、つい箪笥に目が行ってしまうという箪笥を愛好する一人。宮城県塩釜市生まれ。荻原家5代目。