現在、障害の有無にかかわらず、アートを通じて、感性を育み、自己を表現し、さらにその表現を通じて、人や社会との新たな関係を築いていこうとする取り組みが、大きな広がりを見せています。
今回の特集では、仙台でこれらの取り組みを行っている方々をご紹介し、アートの持つ力、可能性を考えます。
- レポート1「Art to You! 第5回東北障がい者芸術全国公募展」
- レポート2「アート・インクルージョン2019」
- 誰にでもアートを。そして、暮らしや街をもっと豊かに
- もっと自由に、もっと身近にアートを楽しもう。
- もっと知りたくなったら、こちらもチェック!
レポート1
5周年!
Art to You! 第5回東北障がい者芸術全国公募展
2019年10月17日〜20日
公益社団法人東北障がい者芸術支援機構
「障がいのある人のアートに対する理解がなかなか広まらない・深まらない現状」に対して、「東北地方の障がいのある人の社会参加や企業との連携、自己表現・自己実現のサポートをするとともに、社会の側からも、障がいのある人たちやそのアートに対する理解の促進を図りたい」(第1回開催概要より)という思いで2015年に始まった公募展。今年は、東北から呼びかける全国公募展として、その企画、運営を東北6県の福祉施設のスタッフなどで構成する公募展実行委員会が行っています。
作品募集の対象を東北から全国に広げたことで、40都道府県から過去最多の850点もの応募があった第5回公募展。審査を経て選ばれた入選作品136点が展示された会場は、連日多くの来場者でにぎわいました。
見どころいっぱい!
入選作品は10代から80代までと世代もさまざま。手仕事の時間の蓄積を感じさせるテキスタイル、躍動感ある線と色彩が美しい絵画、圧倒的な密度で描き込まれたドローイング、身近な素材が見事に変貌を遂げた立体など・・・思わず引き込まれる独自の世界観をもった作品が、会場いっぱいに展示されました。
実行委員会による企画
「ニッポンの表現欲求〜行為としての作品〜」展より
企画者にお話をお聞きしました
須佐涼子さん
(Art to You! 東北障がい者芸術全国公募展実行委員長/音楽療法士)
障がいのある人、特に言葉を使うことが苦手な人にとって、美術や音楽といった非言語の表現はそれ自体が自己表現であり、コミュニケーションです。また、障がいのある人にみられる「こだわり」も、表現のひとつだと私たちは考えています。はじめから「だめ」と止めるのではなくて、なぜその行為をするのか、その人に寄り添い、支えていくことが大切です。そういった環境があれば、最初は無意味・無駄だと思っていた行為が見る人を圧倒する表現に育っていくことがあります。
この公募展では多くの賞を設けていますが、入選や受賞は出展者にとって励みになります。たとえ本人が分からなかったとしても、生活を支えている家族や施設のスタッフが喜んでくれますし、そうすると自ずと本人への接し方も変わっていきます。評価される、認められることが普段の生活の幸福度・充実度の向上に活かされていく、こういったことも公募展の果たす役割のひとつだと考えています。
障がいのある方の「こだわり」から生まれた作品には、私たちには思いもつかなかったような表現や造形があり、その発想にいつも驚かされます。みなさんも、障がいがあってもなくても表現においてはみな同じ、むしろ、障がいがあるからこそできる表現・仕事があるんだ、そのように感じていただけると嬉しいです。
レポート2
10周年!
アート・インクルージョン2019
2019年10月1日〜31日
一般社団法人アート・インクルージョン
福祉にアートを持ち込みたいと考えていた白木福次郎氏((株)白木屋代表取締役/NPO法人スペシャルオリンピックス日本・宮城理事長[いずれも当時])と、美術をより開かれたものにしたいと考えていた村上タカシ氏(宮城教育大学)が出会い、2010年に始まったアートプロジェクト。個人商店や公共施設、復興住宅自治会など、長町エリアの人々と協働しながら、地域の魅力の発掘と、互いを学び合い、支え合うことを目的に毎年さまざまな企画を実施してきました。
会場は長町商店街を中心としたエリア。わからないことを面白がってくれる懐の深さと、人情味溢れる旦那文化の残るこの地域ならではの、温かな人と人とのつながりが生まれています。
街とつながる
障害者福祉事業所「アート・インクルージョン・ファクトリー(Aiファクトリー)」のスタッフを中心に、多数のアーティストが商店で作品を展示したり、パフォーマンス、ワークショップを行ったりと、企画を盛り上げています。付き合いの長いお店の方々からは「今年は誰が展示してくれるの?」と声がかかるまでに。
Ai本祭(2019年10月5日)
JR長町駅前広場/長町遊楽庵びすた〜り
Ai Month(2019年10月1日〜10月31日)
長町商店街ほか
せんくら×アート・インクルージョンコラボレーション展示
2015年からは、楽楽楽ホール ホワイエで「音をテーマに音を出さない体験型展示」を実施。より多くの人に作品を体験してもらっています。
企画者にお話をお聞きしました
門脇 篤さん
(一般社団法人アート・インクルージョン理事/アーティスト)
2000年代から村上タカシさんのアートプロジェクトに参加していて、「アート・インクルージョン」の立ち上げにも関わることになりました。アーティストとして障害のある人の表現を見たとき、実は「同志のようだ」と思ったんです。社会的にも、経済的にも認められない、でもやらざるを得なくて表現している、そんなところが似ているな、と。「それなら一緒にやりましょう!」と、2013年にAiでアートを仕事にする福祉事業所「Aiファクトリー」を立ち上げました。ここでは表現欲求を満たすことで「その人らしさ」が保障される場をつくろうとしています。
「アート」と言っても、伝統的なジャンルに収まらない「未だ価値があるかないかよくわからないもの」をひとまず「アート」と私たちは呼んでいます。一見落書きにしか見えないけれど、それが出てきた背景を知ると「気づき」がある、そういった意味では現代アートと親和性が高いのかもしれません。いずれにせよ、アートでも福祉でも、これまでの価値観を問うていくこと自体も大切なことではないかと考えながら、日々仲間とともに活動しています。
アートは社会にあってこそ意味があります。Aiでも、無理やりにでも事業所のアーティストを街に連れ出して、時には怒られたりもしながら地域のみなさんと交流してきました。今後は、Aiファクトリーとして、変わりゆく長町をテーマにした作品もつくっていきたいと考えています。
誰にでもアートを。そして、暮らしや街をもっと豊かに
10月初旬、仙台を拠点に障害のある人にアートを届ける現場で活動するお三方にお集まりいただき、それぞれの活動のなかで考えていること、また仙台の状況についてお話を聞かせていただきました。
(於:宮城県美術館創作室)
仙台は進んでいた?!1980〜90年代の動き
松﨑:今日みなさんにお越しいただいているこの創作室は、1981年の宮城県美術館開館以来、「開館中はいつでも、誰でも使える」をコンセプトに運営しているアトリエです。特別なプログラムを用意しているわけではありませんが、特別支援学校や、障害のある方個人での利用もけっこうあるんですよ。
柴崎:障害のある人も含めて「あらゆる人に開かれたアトリエ」というのは、当時の美術館のなかでも先がけでしたね。今でも連綿とその志が受け継がれて、これだけの人たちが来ているというのはすごいことだと思います。
そういえば、1990年代半ばに「とっておきの芸術祭inみやぎ※1」という障害のある人の芸術を紹介する国際的なイベントが宮城県主催で開催されていて、強いインパクトを受けました。この芸術祭には、宮城県美術館の齋正弘さん※2、ビーアイの関口怜子さん※3、といった方たちがボランティアで関わっていたのですが、「インクルーシブ」といった言葉や、それを支える組織や体制もまだ何もない時代に「障害者」という冠をつけないでやっていたんです。今思えば、仙台は進んでいたと言えるかもしれませんね。
菊地:実は、この「とっておきの芸術祭」から「とっておきの音楽祭」が始まったんですよ。2001年に第1回全国障害者スポーツ大会が宮城県で開催されることになって、浅野史郎知事(当時)から「音楽でも何かできないか」と相談を受けた親父※4が「ジャズフェス(定禅寺ストリートジャズフェスティバル)みたいに屋外でやればいろんな人に見てもらえるんじゃないか」と提案して、「とっておきの」という言葉を受け継いで「とっておきの音楽祭」を開催した、それが第1回だったんです。
※1 障害の有無や年齢、国籍などを超えてノーマライゼーションの実現をはかることを目的に実施。宮城県では大阪、神戸市などに次いで全国で4番目に開催された(1995〜2000年)。
※2 元・宮城県美術館教育普及部長。「創作室」の立ち上げにも深く関わった。
※3 ハート&アート空間 ビーアイ代表。仙台市立町で、子どもから大人までを対象にした、アートの手法や五感を使ったワークショップを30年以上にわたり行っている。
※4 菊地昭典さん。特定非営利活動法人とっておきの音楽祭代表。
活動のきっかけは三者三様。でも、求められるから続けてきた。
松﨑:宮城県美術館に来て7年になります。「創作室がある」とは知っていましたが、実際にこういう場所だと知って正直驚きました。大学では美術史学を専攻していましたし、教育普及といっても展示室で解説するくらいのイメージだったので、着任早々、粘土の活動をすることになったりして、最初はずいぶんと慌てました(笑)。私自身は、障害に関する専門家ではないので、当時上司だった齋さんがおっしゃっていた「障害のある方が利用するといっても、どうやったら使えるかということを一緒に考えていくだけで、他の利用者と同じ」という精神を大切に、利用者一人ひとりのお話を聞きながら活動をしてきました。
柴崎:私も大学では美術史の勉強をしていたのですが、近現代の名を残したアーティストよりも、無名の人たちの表現に関心がありました。人は生きていくなかでどのように表現を必要としてきたのか、また、表現を通して自分のアイデンティティがどのように立ち上がっていくか、ということに関心を持っていたんですね。縄文土器の文様論の研究にはじまり、リサーチを進めていくなかで、子どもや障害のある人の表現に出会いました。そして、大学4年生の時、障害のある人の芸術文化活動によって社会づくりを提案する「たんぽぽの家※5」の思想や現場に触れたいと思い、この世界に飛び込んでいきました。
菊地:高校生のとき、ジャズフェスの事務局をしていた親父に頼まれて、ジャズフェスのボランティアをしたのがきっかけです。音楽は好きだったけれど、ボランティアには全く興味がなくて、正直「面倒くさいな」と思ったのですが、参加してみたら思いのほか楽しくて、翌年から実行委員会に入り、やがて事務局を担うようになりました。それから数年経って、2001年に「とっておきの音楽祭」を実施することになった時、ジャズフェスでの経験を活かせると思い、事務局を担うことにしました。
決して収入が良いわけではないですし、最初は10回までやったら今後のことを考えようと思っていたのですが、・・・・・・なんで続けているんでしょうね(笑)。でも、最初は音楽祭だけでしたが、10周年のときにはアートに力を入れてみたり、ここ数年は仙台市と新しい事業を始めたり※6と、事業の幅が少しずつ広がっていくのが楽しいというのはあります。音楽祭も来年で20周年なので、いよいよやめられなくなってきました。
柴崎:私も、障害のある人やその家族、そこに関わる人たちが楽しさや必要性を求めて集まってくるから、ものごとがどんどん転がっていってやめられなくなってしまいました(笑)。自分の得意不得意とは関係なく、今、何が必要かという視点にたって、美術だけでなく、ライセンスビジネスの仕組みをつくるなど、いろいろやってきました。
もちろん「楽しい」というのは活動の大きな力の一つですが、「個人の自由を保障する」「違いを認める」といったアートの特性を、障害のある人を取り巻く状況を変えることに活かしたいという思いのほうがより強いです。障害のある人がアートを通して思いを表現できた、表現を通じてその人に対するまわりの理解が変わった、家族の状況が少しでもよりよい方向に動いた、そういった、アートを通じて起きる作用に突き動かされて今までやってきたように思います。
※5 奈良市にある福祉施設。40年前から福祉とアート、双方の視点から障害のある人の生きる場づくりに取り組んでいる。エイブル・アート・ムーブメント(可能性の芸術運動)の発信拠点。
※6 TAP(TOGETHER ACTION PROJECT)。NPO法人とっておきの音楽祭が仙台市と恊働で取り組んでいる表現活動による障害者差別解消、障害者理解の促進に関するPR事業(2016年〜)。
アートの「価値」や「見かた」をもっと自由に
松﨑:創作室での活動に携わるようになって、美術館に展示されるものと、創作室でつくられるものとの関係についておのずと考えさせられるようになりました。公立美術館では、作品を収集するには合理的な理由が必要で、結果的に多くの人が評価するものが収集されがちです。アートの価値や評価は時代によって変わっていくもので、それを歴史として集めるのが美術館だと考えています。ですから、美術館は、同時代のアートにとっての絶対的な評価軸だというわけではありません。むしろ、美術館の外にあるアートの世界は、もっと広い視野で見ていく必要があると、私自身は考えています。どんなにたくさんの他からの評価があっても、「価値はあくまで自分自身の中にあるんだ」という根っこを持っていないと、満足できないのではないかと思います。
柴崎:宮城県美術館で聴覚障害の方たちと一緒に作品を観るプログラムを実施したときのこと。最初に学芸員さんが「ここにある作品は上手いから展示されているのではない」と言って、参加者のみんなが倒れそうになっていました(笑)。美術館は、人間が何を発見したか、という「歴史」として意味のあるものを収集しているんだよと語りかけるのです。ですから、人はどのように「光」を発見したか、戦争をどのように表現したか、といった視点で作品を展示したり、鑑賞したりすることもできるんですよね。
作品の「見かた」ということでは、特に現代アートや障害のある人の作品は「これはなんだろう?」というところから問いが立ち上がってくる、そこに面白さがあると思っています。そういう意味で、「見る」ということは自分が試される場だとも言えます。
障害のある人の作品も、全国的にみるとようやくキュレーターによるテーマ性を持った展覧会も増えてきました。ただ、仙台・宮城ではまだこうした事例が少ないので、まずは発表する環境をつくっていくのも大事なことだと思います。
松﨑:発表する場がある、人に見てもらう場がある、というのがアートとして始まる第一歩ですよね。
菊地:「とっておきの音楽祭」では、出演者のなかから、プロになった人も何組か出てきています。例えば、笙YUUさん※7は、第1回のときに真っ先に応募してくれたのですが、その出演がきっかけで他からも声がかかるようになり、今ではプロの演奏家として全国を飛び回っています。
※7 仙台発の笙奏者。幼少より雅楽に惹かれ、13歳で笙を手にする。ウィリアムズ症候群という障害を音楽の分野に特化し開花させ、雅楽曲はもとよりあらゆるジャンルの曲を演奏している。
アートで暮らしや街が変わる
柴崎:近年のトピックとしては、障害者総合支援法・障害者文化芸術活動推進法が施行されたことによって、福祉と文化、両方の側面から支援を考えられるようになりました。福祉事業所、文化施設、中間支援のNPOなどが連携して、芸術文化活動ができる環境をつくるようにしていかなければいけないと最近は考えています。
松﨑さんや、菊地さんのように表現や発表の場をつくる役割がある一方で、私たちのNPOでは、そこに至らない、つまり障害のある人のなかでもさらに弱い立場にある人を支えるために、2014年から本格的に仙台・宮城で中間支援の活動に取り組んでいます※8。生まれたそれぞれの土地で、芸術文化を通して豊かに生きることを支える、地味ですが、そういったことをやりたいと思っています。東日本大震災以後、私は輝く個人や団体が小さくとも地域のあちこちにあることを美しいと感じるようになりましたし、困ったときに互いに補い合えるような、ネットワークハブをつくっていくことに力を入れていきたいですね。
菊地:支え合うという意味では、今年から定禅寺ストリートジャズフェスティバル、仙台・ゴスペルフェスティバルの3団体で仙台市ストリート音楽祭ネットワークを立ち上げ、意見交換をしたり、当日の運営を助け合ったりするようになりました。今後は、音楽以外の団体とも連携していけるといいなと思っています。
20年間この活動に携わってきて、障害のある方で表現したいという人は増えてきていますし、音楽祭を続けることで、街の人たちの意識も変わってきたという実感があります。回を重ねるうちに苦情も減っていきましたし、商店街の方も場所を貸していただくだけではなくて、積極的に協力を申し出てくださるようになりました。まちなかで障害のある方を見ると、まだまだ怖いとか、うるさいと感じる人がいるようですが、楽しそうに音楽を演奏している姿を見るとか、よい音楽が聞こえてきて、行ってみたら障害のある人の演奏だったとか、そういう体験を通じて自然と「心のバリアフリー」につながっていければいいなと思っています。
※8 「障害者の芸術活動支援モデル事業」(2014-2017年)を通じて「まぜると世界が変わる」をコンセプトにSOUP(障害者芸術活動支援センター@宮城)の活動を展開している。(http://soup.ableart.org/)
最後に 読者のみなさんへのメッセージ
柴崎:最近は、「せんくら」での販売など、気軽に訪れるマーケットタイプのイベントも実施しています。アート&クラフトも素敵になり、食品も美味しいものが増えているので、まずはそういうところから触れていただくのも良いと思います。
また、来年2月には障害のある人の芸術文化活動を紹介する「きいて、みて、しって、見本市」を開催するので、ぜひ訪れてみてください。
松﨑:宮城県美術館では、昨年から障害のある人は特別展も無料で観覧いただけるようになりました。ぜひ多くの方に利用していただきたいです。展示会場や、創作室でいろいろな交流が自然に生まれるようになるといいなと思います。
菊地:「とっておきの音楽祭」はまちなかでやっているので、ぜひ見ていただいて、興味があるものをひとつでも見つけていただきたいです。ボランティアはいつでも募集していますので、関心があればぜひご連絡ください。
宮城県美術館「創作室」
開館中はいつでも、だれでも無償で使えるアトリエ。材料を用意すれば、豊富な道具と器材を用いて自由に制作できる。単に作るだけではなく、美術と美術館に関するあらゆる質問・疑問について学芸員とともに考える、という独自かつ先進的な運営方針が、全国の美術館から注目されている。
https://www.pref.miyagi.jp/site/mmoa/
NPO法人とっておきの音楽祭
障害のある人もない人も一緒に音楽を楽しみ、音楽のチカラで「心のバリアフリー」を目指す音楽祭「とっておきの音楽祭」(2001年〜)を開催するほか、障害のある人が音楽やパフォーマンスを表現する楽しさを知ってもらうための活動、障害のある人とない人が相互理解するための活動に取り組んでいる。
http://totteokino-ongakusai.jp/
NPO法人エイブル・アート・ジャパン
障害のある人たちが表現活動を通じて、生きる尊厳を獲得すると同時に、障害のある人たちのみずみずしい感性あふれる表現活動を通じて、社会に新しい芸術観や価値観をつくることを目的に活動を展開するNPO。東日本大震災後は東北事務局を設置し、障害のある人の仕事の復興支援や芸術活動支援に取り組んでいる。
http://ableart.org/
もっと自由に、もっと身近にアートを楽しもう。
「アート」や「表現すること」は、日常生活で凝り固まった心や、人と人との関係を解きほぐすとともに、新しい価値観に出会える、そんな可能性を持っているようです。
そんなアートの力をより多くの人に感じてもらいたいと、障害の有無に関わらず、みんな一緒に活動できるプログラムを提供している人や場所が、ここ仙台にもたくさんあります。ぜひ、みなさんも訪れてみてください。
ここをみんなの広場に
Wonder Art Studio・ARTS for HOPE
Arts for HOPE主宰・ホスピタルアーティスト 高橋雅子さん
アウトサイダーアートの展覧会企画やホスピタルアート、東日本大震災後はアートによる心のケアに取り組むARTS for HOPEなど、一貫して社会で生きづらさを抱える人に寄り添った活動を国内外で精力的に行ってきた仙台出身の高橋雅子さんが、「居場所がほしい!」という声に後押しされて2016年に開設したスタジオです。
「自由にのびのびと創作できる環境を」と探してたどり着いたのが、荒町のビル。子どもたちも一緒になってDIYでリノベーションした館内は、床から天井までさまざまな色に彩られた心地のよい空間に変貌し、訪れた人を元気づけてくれます。
現在は「ボーダレスアート」の定期コースを開催するほか、「親子の自由アトリエ」(第2・4土曜日)や公開プログラム(季節毎)、企画展(年2〜3回)など、誰でも参加できるプログラムも用意し、広く地域に開かれた場づくりを目指しています。
Wonder Art Studio
〒984-0073 仙台市若林区荒町172 第一旭ビル2階(仙台市地下鉄南北線「愛宕橋駅」より徒歩8分)
TEL 03-6240-1525 Email artsforhope@gmail.com
http://artsforhope.info/was/
最新情報はfacebook“ARTS for HOPE”をご覧ください。
見せたい、伝えたい、一緒に楽しみたい!
アートスペースばく
ぼーだれすあーとくらぶBACせんだい 菅原道子さん
東日本大震災を体験した2011年、「アール・ブリュット ジャポネ展」の報道に触れ、「アートの力=生きる力」を伝えたいと、障害のある子どもの母親やその支援に携わってきた仲間で「ぼーだれすあーとくらぶBACせんだい」を発足。以来、ワークショップや展覧会、アートカレンダーの制作などの活動を続け、2019年1月に念願のアートスペースをオープンしました。ここでは、身の回りにあるものや自然素材を使ったワークショップ、ボーダレスアートの作品展示などを行っていて、子どもから大人まで、実にさまざまな人が集っています。
「“社会性”や“効率”が優先される社会のなかで、自分のペースで自由に表現できるアートの場がますます必要になっていると感じる」と菅原さん。ゆったり素材と触れ合いながら、表現することの楽しさに向き合える場所です。
アートスペースばく
〒981-0908 仙台市青葉区東照宮1丁目13-37(JR仙山線「東照宮」駅より徒歩7分)
11:00〜17:00(木〜日曜日・不定休のため要問合せ)
最新情報はfacebook“アートスペースばく”をご覧ください。
アートは難しい、特別なものだと思っている人にこそ届けたい
オドリノタネ/パフォーマンスクラス
NPO法人アートワークショップすんぷちょ 代表 及川多香子さん
年齢や障害の有無を問わず、多様な人が芸術に触れ、交流することを目的に2008年創設(2014年NPO法人化)、「安心して体と感覚を遊ばせることのできる場」をさまざまな人に届けてきました。
すんぷちょが年間を通じて実施しているダンスワークショップ「オドリノタネ」、作品の創作・発表を目指す「パフォーマンスクラス」は、ダンスに興味のある人ならどならでもOK!及川さんによると、「子どもから高齢者まで、障害の種類を問わず幅広い参加者を募集中です」とのこと。多様な立場の人が参加すると、その分だけ視点やアプローチが増えて面白くなるのだそうです。「人と交流する、互いを尊重する、といったことはアートだと柔らかく実践できる」と及川さん。のびのびと体を動かし、普段使わない感覚を使うことで、自分や他者の新たな一面を発見する、そんな体験ができるワークショップです。
NPO法人アートワークショップすんぷちょ
オドリノタネ 2020年1月11日(土)、2月1日(土)、3月7日(土)10:30〜12:00 要事前申込
会場:せんだい演劇工房10-BOX
パフォーマンスクラス
随時募集中。このほか、リクエストに応じて出張ワークショップなども行っています。
Email info@sun-pucho.com
http://www.sun-pucho.com/
木の温もりのなか、交流を楽しんで
CAFE&SHOPたむたむ亭
NPO法人多夢多夢舎中山工房 施設長 大越裕生さん
閑静な住宅街にたたずむ、木造ならではの温かみと、吹き抜けの開放感のある空間が魅力のカフェ。2009年にオープンしたこのお店の一番の特徴は、すぐ隣の建物が工房となっていること。就労継続支援B型事業所であるこのカフェ・工房では現在18名の利用者が、日々、工房で自舎ブランド「tam tam dot」の原画制作に取り組んだり、カフェで接客したりしているので、自然と交流の機会が生まれます。「アートは“これはやってはだめ”ということがないので、みんな楽しく制作に取り組んでいますし、自分が描いた絵の商品が売れると利用者の自信にもなるようです」と大越さん。工房の見学も可能とのこと。運が良ければ、お気に入りの製品の原画を描いた作家さんにも出会えるかもしれません。
CAFE&SHOPたむたむ亭
〒981-0952 仙台市青葉区中山2-18-5(JR仙山線北山駅より徒歩10分)
ランチ・カフェ11:30〜14:00、ショップ11:30〜16:00(日・月曜日、祝・休日は休み、ランチは火・木曜日のみ)
TEL 022-277-0081/E-mail info@tamutamu.jp
http://tamutamu.jp
市内の事業所の製品が勢揃い!
ふれあい製品フェア
仙台市健康福祉局障害企画課 佐藤朱美さん、佐藤嗣紀さん、齋藤幸子さん
障害のある方が働く事業所などでつくられた製品を直接見て、購入することができる仙台市主催のイベント。2005年の第1回以来毎年開催し、2019年度は年間を通じて38もの施設が参加するまでに成長しました。
陶芸や木工製品、布小物などのアート系雑貨から、パン・クッキーなどの焼き菓子、新鮮な有機野菜まで、バリエーション豊かな出店内容が何よりの魅力です。移動販売車でカレーやうどんなども販売され、お昼時には行列ができるほど。仙台市内の事業所の多彩な取り組みに気軽に触れることができるこのイベントで、ぜひお気に入りの一品を見つけてください。
ふれあい製品フェア
会場 勾当台公園市民広場
時期 5月〜10月の平日10:30〜14:30 年6回開催(荒天中止)
*2019年度は終了、2020年度は5月〜11月に開催予定
ふれあい製品展示販売会
各会場、週1〜3日の頻度で開催
各区役所1階ロビー、ガス局、宮城野区文化センター、若林区文化センター
TEL 022-214-8151
もっと知りたくなったら、こちらもチェック!
宮城の作家・アートスペース情報(障害者芸術活動支援センター@宮城)
宮城県の障害のある人たちの表現や、障害のある人も利用できるアートスペース情報を紹介しています。現場の様子、また活動に携わる方の思いを知ることができる「訪問レポート」もぜひご覧ください。
http://soup.ableart.org/artist/index.html
障害のある人と芸術文化活動の大見本市
きいて、みて、しって、見本市。
障害のある人が、芸術文化の表現活動を行う次の一歩を踏み出すためのヒントが満載の企画。多様な活動を行う団体や事業所が出展するほか、作品展示や人形劇の上演なども行います。
会期: 2020年2月2日(日)〜5日(水)10:00〜18:00(2日は14:00から、5日は16:00まで)
会場:せんだいメディアテーク1階オープンスクエア
TEL 070-5328-4208(NPO法人エイブル・アート・ジャパン東北事務局)
第50回私たちの作品展
仙台市内の特別支援学校、市内又は市立小・中学校の特別支援学級の子どもたちによる元気いっぱいの作品展。工作、絵画、書道、手芸、美術作品など、さまざまなジャンルの作品が一堂に展示されます。
会期:2020年1月31日(金)〜2月5日(水)10:00〜18:00(最終日のみ15:00まで)
会場:せんだいメディアテーク6階ギャラリーa