連載・コラム

「笑い」を育む

『季刊 まちりょく』特集記事アーカイブ

『季刊 まちりょく』vol.30掲載記事(2018年3月20日発行)
※掲載情報は発行当時のものです。現在の各団体の状況については、ウェブサイト等でご確認ください。

 「笑いは百薬の長」「笑う門には福来る」・・・。「笑い」はわたしたちを元気にし、前向きな気持ちに導く力を持っています。しかしその昔、旧藩時代の仙台城下では劇場や寄席などでの演芸はご法度でした。明治維新後、料理屋の広間や浴場の二階を利用して開演されるようになり、本格的な寄席は1886(明治19)年の虎屋横丁にできた「笑福亭」と言われています。その後明治後半から大正初期にかけて「長寿亭」「東京亭」「開気館」といった寄席ができ賑わいをみせました。*

 それから時が流れること百有余年。2018(平成30)年4月1日、仙台の街中に常設寄席「花座」が開場します。新たな活気が生まれる今、仙台で「笑い」を大切にし、育んでいる方々をご紹介します。

*参考文献『仙台・東一番丁物語』(柴田量平/本の森)

幸せはここ「花座」に

白津守康(しらつもりやす)さん
花座席亭・(公財)落語芸術協会仙台事務所長・株式会社BBI代表取締役

街を盛り上げたい

 大学卒業後サラリーマンを経験し、ふるさと仙台に戻ってきました。2000年に不動産会社を立ち上げ、エンターテインメントが好きでしたので2006年にイベント会社を設立しました。そこから街づくりを手がけるように。街中に特設ステージを作って「仙台お笑いコンテスト」*というイベントを開催したこともあります。私は「花座」ができるこの場所で生まれ育ちました。三越から三軒目。昔はこちらが賑やかでしたが、今は商圏が仙台駅のほうに移ってしまい寂しい。ここ勾当台地区を盛り立てたいという気持ちがあります。

*2009年から7回開催

「魅知国仙台寄席(みちのくせんだいよせ)」

 「魅知国仙台寄席」は2010年6月に始めた、気軽にご覧いただける寄席です。「落語」だけでなく「漫才」「手品」「音楽」などバラエティー豊かなプログラムをお楽しみいただいています。三越の地下の「ハビット」という喫茶店で20名からスタートし、東日本大震災後は中央通りにある「桜井薬局セントラルホール(現・仙台セントラルホール)」を会場に開催を続けてきました。月1回開催の寄席には毎回100人くらいのお客様が見えています。

 震災後は会場が使用できなくなり、翌月は開催できませんでした。しかし避難所にいるお客さんから寄席のお問い合わせがきた。開催は難しいと思っていましたが、待っている方がいるとわかり俄然燃えました。東北弁落語の六華亭遊花(ろっかていゆうか)さんと、仙台の芸人だけででもやろうと話をしていたら、夜行バスで東京から落語芸術協会の師匠がお二人来てくださいました。飲み屋さんをお借りして開催にこぎつけると50人を超えるお客様が。最中に震度4くらいの地震がありましたが、皆さん慣れっこになっていてハイテンションでしたね。いろいろと大変でしたが、好きな事をやっているので、苦に感じません。

第1回「魅知国仙台寄席」の様子(2010年6月、仙台三越地下喫茶店「ハビット」にて)

「魅知国定席寄席 花座(みちのくじょうせきよせ はなざ)」

 これまで「魅知国仙台寄席」は第1土曜日の開催でした。しかし曜日開催だと、なかなか行けないというお客様が多かったので、「花座」では、1日~5日、21日~25日と日にちを決めて、好きな時に来ていただけるようにします。午前と午後、場合によっては夜公演もと考えています。落語芸協協会所属の真打ち落語家のほか、地元で活躍する芸人の方々にも出演していただき、それ以外の日には噺家さんを呼んで、落語会をやろうというプランがあります。東京や関西の芸人さんも楽しみにしてくれています。

 桂歌丸(かつらうたまる)師匠が名誉館長なので、基本は落語や寄席、プロの方にお貸出しする予定ですが、東北の復興があるので、頑張っている東北の芸人さんには幅広くお貸ししたいと思っています。

「花座」の目標

「花座」完成イメージ図。「花座」の名称は、世阿弥の芸術論『風姿花伝』から。

 ここで芸人を育てていきたいです。どんなにセンスがいい人でも、お客さまの前で何回もやらないと、上達しません。まったく知らない人にお金をいただいて見せる難しさ。そこで笑われたり、罵声を浴びたりしながら芸人は育っていかなければならない。つまらないから帰れと言われることもあるかもしれない。そんなに簡単にお金がもらえるものではないことをわかってもらいたいですね。そして「花座」を研鑽の場にして、ここからスターが育ってほしい。「花座」の「花」は草冠に「ばける」と書きます。ここで「ばけて」もらいたい。この「花座」を東北の演芸の聖地にしたいです。40席の小さな寄席ですが、皆さまからの応援をいただいていますので頑張らないと。

 六華亭遊花さんが話してくれたのですが、おばあちゃんたちがお茶っこ飲みで集まって、大人が笑っている。話の内容はわからないけれど、そこにいる子どもはすごく安心して、幸せを感じる。だから大人が笑って話をしましょうって。本当にそうだと思いますね。「花座」にぜひ笑いに来てほしいですね。幸福だから笑うのではなくて、笑うから幸せになるのです。

2018年4月オープン 「花座」情報  https://hanaza.jp/

開催日/上席(かみせき) 毎月1日~5日(曜日に関係なく)
下席(しもせき) 毎月21日~25日(曜日に関係なく)
開演時間/午前の部 11:00~12:50(4月上席は11:30から)
午後の部 14:30~16:20
入場料/一般2,000円・小学生1,000円・シニア(65歳~)1,500円
※日によって料金が異なります ※未就学児入場不可

〒980-0811 宮城県仙台市青葉区一番町4丁目4-23
地下鉄南北線 勾当台公園駅 南2・南3出口より徒歩1分
お問合せ 公益社団法人 落語芸術協会仙台事務所
TEL 022-263-9608/FAX022-263-7907

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「笑い」のお手伝いを

六華亭遊花(ろっかていゆうか)さん
落語家・三遊亭遊三一門・落語芸術協会仙台事務所所属

 最初は「川野目亭南天(かわのめていなんてん)」という高座名で「東方落語」*からスタート。「魅知国寄席(みちのくよせ)」にも出演していて、震災の年に三代目三遊亭遊三(さんゆうていゆうざ)師匠に入門を認められ「六華亭遊花(ろっかていゆうか)」に改名しました。入門したら本当は東京で「江戸弁」で「江戸落語」をやらなければならないのですが、仙台でずっと東北弁落語をやっていたこともあり、特例として今まで通り東北弁落語を続けています。

 東北のみなさんは東京や大阪と違い「寄席」の経験が少ないので、「寄席」というと構えて緊張してしまう。だけど演目の中に東北弁の落語が入っていると近しく感じるようです。落語は想像力の世界で、同じ噺でも江戸落語の方がやると、描く風景が江戸の町並みで、私が東北弁でやると、東北の風景・・・自分の住んでいる街、思い出のある街が思い浮かぶそうです。民話を落語に作りかえたり、古典落語の舞台を東北に移すなどアレンジをしていますが、東北弁でなければ表現できないニュアンスがあるんですよね。今まで落語に触れてこなかった方に楽しんでもらうために、東北弁にこだわっていきます。

 暮らしていたら、しんどいことはあるんです。だから寄席に来て、私たちの噺を聴いている時間だけは、いろんなことを忘れて、笑って、泣いて、心が動く・・・そうあってほしいなと思います。「笑い」は体にいいと聞きますが、だからといって一人では笑えないんですよ。ですから「笑い」のお手伝いができればいいな。

 「花座」にはいろいろな芸人さんが出演します。まずはひいきの芸人さんを見つけてください。すると来る楽しみが増えます。何回も通っていると、この噺は好き、このネタは好きとわかってきて「通」になる。そうなるとまた楽しい。当たり前に演芸が楽しめるということを、早くみなさまにも実感していただきたいですね。芸人さんをよく見かける東京の浅草みたいになったらいいなぁ。私たちも住みやすくなります(笑)。

 「花座」の未来はお客様にもかかっていますよ。ここを自分たちの寄席と思い、「花座」の一員として一緒に盛り上げてもらえたらなと思います。まずは時間があったら来てください。来ていただければ楽しいことは間違いないですから。

*東北弁で落語を語る団体

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東北弁の落語を文化に!

今野家もう世(こんのやもうぜ)
東方落語代表

「東方落語」とは

 『東北弁』は、人と人、地域と地域を繋ぐ重要なコミュニケーションツールです。『東方落語』はこうした東北弁の素晴らしさを落語を通して広めようというコンセプトからスタートしました。家元・今野家東(こんのやあずま)(1947~2013)がラジオで落語の弟子を募集し、そのラジオを聴いた私「もう世」と「世はね」が弟子入りして始まりました。東師匠が他界して5年。その後を引き継いで現在に至ります。

 1997年3月に設立し、同年5月から毎月定期寄席を20年間、これまでに250回開催してきました。毎月第2日曜日。一日2回の公演(13時・17時)。特に13時開演の部はお陰様で大体満席となっております。遠くは秋田から高速バスで観に来て下さるお客様もいらっしゃいます。本当にありがたい事です。最近は常連さんだけで無く、若い女性のお客様もちらほらと、皆さん笑いを求めて来てくださっています。会場は稲荷小路にあります仙台地物屋「炉だん」。この会場、何と言っても噺家とお客様との距離感が近くてたまらない!料金も1000円と20年間据え置です。消費税が上がっても変わりません(笑)。メンバーは現在6名、その他に東方落語出身の「まつトミ」と「六華亭遊花」(三遊亭遊三一門)に出演していただいております。

 落語は一人で何人もの人を演じます。私は、落語を噺ているだけ・・・それをお客様が感性豊かに受け取って頭の中で想像する。「八五郎出世噺(はちごろうしゅっせばなし)」では、みんな違う「八五郎」や「殿様」が出てくる。それが面白い。他県に行ってもこのままの「東北弁」でしゃべります。沖縄での公演では、「もう世さんの言葉は8割分からなかったけど、落語は8割分かった」と笑って話されていました。この時、やっぱり落語の力は凄い!と改めて実感させられました。落語の魅力は想像力を駆り立てるところです。それから大切にしているところは演じる役の想いですかね。その気持ちになれるように。

 落語には色んな笑いがあります。怒る時は大体一緒ですが、笑いのツボはみんな違う。だから人を笑わせるというのは意外と難しいのです。落語はお客様とのキャッチボール。お客様の笑いが力になって返って来る。その力を今度は私がお客様に噺で返す。そしてまた笑いで返してもらう。それが我々噺家の力になる。笑いのキャッチボールみたいなところが落語のいいところなのかもしれません。

「東方落語」のメンバー 左から今野家ふぁんた、今野家世はね、今野家もう世、今野家がめら、今野家ちょすな

次の世代に

 大阪には「上方落語」、東京には「江戸落語」があるように、「東北には東方落語あり」と言われるその日を目指して。そして私は次の世代にバトンを繋ぐのが役目だと思っております。皆さんに可愛がっていただけるようになるのに20年かかりました。これから50年続けばもっと「東方落語」を知ってもらえる。100年続けば間違いなく「文化」になる。50年目だと私も83歳、その時高座に上がって「おー、もう世ずんつぁん、まだ生きてしゃべってるよ~!」って言われたい。そしてお客様に「もう世ずんつぁん、私のこと覚えてる?」って「ばんつぁん」のお客様に言われる。考えただけでも最高だっちゃね~!(笑)。最後にここでの2時間は異次元の別世界・・・そういう空間に身をおけるという事に、ただただ感謝でございます。

第248回定期公演の様子
会場の仙台地物屋「炉だん」定期公演の日には幟が立ちます

「東方落語」情報
http://www.tohorakugo.com/

お問合せ先
東方落語プロジェクト
TEL 070-5622-2552
FAX 022-227-8408

《定期寄席会場》
仙台地物屋「炉だん」
仙台市青葉区一番町1-13-16

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仙台のお笑い界を支える

古家義郎(ふるやよしろう)さん
芸能プロダクション 合同会社ティーライズ代表社員

お笑い集団ティーライズ

 私自身、元々芸人を目指していました。高校一年生の時に吉本興業の札幌事務所のライブに出演し始め、卒業後は東京の吉本養成所に入りましたが、自分には才能がないと思い辞めました。この経験を生かそうと、吉本興業の事務所がなかった地方都市仙台で1999年「お笑い集団ティーライズ」を設立。タレント・お笑い芸人を本気で目指す、やる気のある人たちを発掘し育てています。最初は2組の芸人からスタートし、お笑いブームの頃は20組くらいいましたが、現在は7組10人です。自分自身「おもしろいことをやる」ということを肝に銘じているので、芸人にも守りに入らないでおもしろいことを言ってほしい。プロフィールに刻めるような面白いことをやってほしいという信念を持っています。

「イギナリライブ」

 「イギナリライブ」はティーライズが2000年2月から毎月1回行っているお笑いステージです。第1金曜日に開催。現在208回(2018年3月現在)を数えます。お笑いイベントは筋肉と同じで毎月開催しないと腕が落ちます。とにかく毎月新しいネタでやり続けないとレベルが落ちてしまうので最初から毎月開催です。

「イギナリライブ」の様子。舞台も客席も満員。「イギナリライブ」(すごいライブ)は古家さんが命名。仙台らしい方言をと考えつけた。

 芸人が増え、一度に全員舞台に出すのが難しくなってきたので、サッカーのJ1、J2の仕組みのように、芸1、芸2を作りました。芸1は「イギナリライブ」、芸2は、「イギナリライブ」のオーディションコーナーだったものを、ライブとして独立させた「イギナリJrオープン」(現在は「イギナリJrオープンTV」)です。仙台ではお笑いの先輩や師匠がいない状況で、アドバイスをもらえるような環境がなかったためランキング制度を設けました。お客様アンケートをポイント制にして、評価を数字の指標にしました。お客様の支持率で芸2の上位2組を芸1の下位2組と入れ替えてというのを毎月続けています。お客様の評価で芸人が上がっていくわけです。

 立ち上げた当初のお笑いブームの頃はお客様の大半は女子高校生でした。その頃に比べるとファンの年齢層は広がりました。「イギナリライブ」では毎回ゲストをお呼びしていますが、お笑いの方だけではなく、ミュージシャン、プロスポーツ選手、ユーチューバーなど別のジャンルの方を呼ぶようにしました。すると有名なユーチューバーがゲストの回に、同じ舞台に立ちたいと別なユーチューバーがエントリー。それを見たお客さんが、では自分も出演しようと、新たな連鎖が生まれました。

お笑いの道を広げて

 最近お笑いを目指す子は少なくなってきていますので、新しい形を含め「人を笑わせる」ことをやっていきたいです。仕事をしながら、また退職してからでもお笑いができる道を作りたいと思います。その一つとして「番組」を作りました。今のお笑い志望の方はテレビで見た漫才にあこがれてという方が多いのですが、ネタ番組自体が少なくなってきた。彼らの活躍の場を作るために、「イギナリJrオープンTV」というネットネタ番組を制作。ライブをテレビ番組の収録と同じように編集して放送。するとそれを見た人たちが他県からも集まってくるようになりました。

 将来的には「イギナリライブ」はお笑い舞台の最高峰、「イギナリJrオープンTV」は形を模索している最中ですがネタ番組として、ネーミングライツを募集してスポンサーを見つけ、できれば地上波の深夜番組に進出して発信できればうれしいですね。

ティーライズ所属の「ニードル」(左)と「ストロングスタイル」(右)

「イギナリライブ」ほか情報
http://tryz.jp/

《イギナリライブ会場》
仙台セントラルホール(旧・桜井薬局セントラルホール)
〒980-0021
仙台市青葉区中央2-5-10
桜井薬局ビル3階
注記)最新情報はウェブサイトをご確認ください。

お問い合わせ
合同会社ティーライズ
TEL 022-395-6566
FAX 022-395-6567

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東北大学学友会落語研究部「仙都に笑いを」

部室で揃いの法被を着て。

6月 新入生顔見世落語発表会
11月 古典落語発表会
3月 卒業生追い出し落語発表会

 1959年に創部、来年で還暦です。「仙都に笑いを」というスローガンは設立当初の先輩方が掲げました。当時は「東北落語不毛の地」と言われていて、それを改めて東北に落語を広めたいと。以来ずっとこのスローガンでやっています。かつて三遊亭円生(さんゆうていえんしょう)師匠をお呼びして独演会を開催したこともありました。先輩方はすごいです。

 現在1年生から4年生まで30人で活動。毎週月曜日に定例報告会があります。練習はそれぞれ家で行い、形にしたものをこの部室で仲間に披露します。それを皆で「ああしたらいい」「こうしたらいい」と言い合います。

 「新入生顔見世落語発表会」はひと月前に自分の噺のネタを決めて、練習をしてデビューします。最初は練習時間もなくて結構ハードです。人前で話すことに慣れておらず、緊張もダイレクトに出てしまいます。先輩になると、それを見るのも面白いのですが(笑)。

 地域の小学校や老人ホームに数名ずつ出向いて落語をする「出前落語」も行っています。10年以上続いていますが、今年度は60件以上。ここ何年かで件数が増えてきています。知らないところで、口コミで私たち落研の噂が広まっているようでありがたいです。

 発表会のほかに、2014年から東北学院大学、新潟大学と一緒に「奥羽越(おううえつ)学生落語会」も開催しています。当時東北近隣にこの3大学にしか「落研」がなかったようです*。大学間の交流を深め、実力向上を目指し、部内で優秀な人を選んで出る特別な落語会にしたかったと聞いています。今は岩手大学でも「落研」が新設されたようですので、いずれ一緒に「落語会」をしたいですね。

*東北福祉大学には漫才が主流の「落研」があります。


大事にしていること心がけていること

笑いの量や雰囲気がわかるようにお客様の顔を見る。
落語の噺をとことん好きになって、登場人物の気持ちや意図を考える。
独りよがりにならないように、女性ならではの自分の味を出せるように。
目の前のお客様が笑ってくれるかどうか、そこに自分の色を出せるか注意を傾ける。
落語の中に自分らしさを出す。
お客様に合わせた間の取り方。
お客様の存在を忘れずに場の雰囲気をつかむ。
焦らないで自信をもつ。
楽しい落語の雰囲気作り。
お客様に流れよく、気持ち良く笑ってもらえるようなリズム感。
自分の身の丈にあった落語。
遠くの人にも届くよう、ボールを投げるように声を出す。


2018年の予定

上記以外で
9月 OB落語会
11月 川内寄席 を開催予定

東北大学学友会落語研究部の情報
お問合せ先
yu_rac@yahoo.co.jp

出前落語は随時受付中

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東北学院大学落語研究会 地域に根ざした落語会に

2016年「六軒亭」落語会にて。

6月 雨宿り落語会
9月 学外笑語寄席
10月 六軒亭落語会
12月 定期落語会
3月 追い出し落語会

 1965年に発足し、今年で53年になります。現在1年生から4年生まで10名で活動。活動は週に1回、部会があり、年に5回の落語会を行います。

 「雨宿り落語会」は去年から始まりました。それまで夏休み前は活動をしていなかったのですが、落語会を一つもしないのは寂しいねと開催することに。エル・パーク仙台、戦災復興記念会、福祉プラザなどで行っています。お客様はお近くの方が多いのですが、県南から、またOBの方が山形からと、全部で40~70人くらいの方が来てくださっています。夏休みは二泊三日の稽古合宿を行い、その成果を元に新入生が「学外笑語寄席(がくがいしょうごよせ)」で初高座に上がります。大学祭では「六軒亭(ろっけんてい)」を。これは教室が会場で、自分たちで教壇にベニヤ板や畳を乗せてステージを作ります。設営だけで1日かかり一仕事です。このほか年2回、東北大学、新潟大学と一緒に各大学のエースを投入して「奥羽越学生落語会」を開催します。

 この他に様々なところからお声がけいただき、出前で落語会もさせていただいています。わざわざ私たち素人の落語を聴きに時間と交通費をかけて来てくだる。それはとてもありがたいことで、観に来てくださる方々のご厚意に失礼のないように落語をしなければと心がけています。

 地域のお役に立ち、少しでも貢献できればと思っています。我々の落語会は地域の皆さまに育ててもらっています。また応援していただいているからこそ落語会を開催できるのです。地域に根差した落語会になれたらと思います。


お話を伺った佐藤佳永(よしのぶ)さん。第52代目会長。背面の「木札」は歴代の先輩方が残したもの。

小さい頃から人を笑わせるのが好きでした。しかし人を笑わせるのは難しい。同じ話を同じようにやっているのに、今日は笑っていただけた、今日は笑っていただけなかったとあります。

芸名は先輩からあだ名のように付けられます(笑)。私の芸名は居栄亭ゆう馬(イエティユウマ)。白石出身なので、近くの蔵王山をイメージしてつけて下さったのではないでしょうか。


これからの予定

2018年6月17日 第3回雨宿り落語会
(会場:エルパーク仙台セミナーホール)

東北学院大学落語研究会の情報
お問合せ先
tgu_otiken@yahoo.co.jp

第9回「奥羽越学生落語会」

入場無料

「奥羽越学生落語会」秋は新潟、3月は仙台で開催
日時:2018年3月24日(土)12:30開場13:00開演
会場:東北大学片平キャンパス片平さくらホール

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井上ひさし「希望としての笑い」

苦しいこともあるだろさ 悲しいこともあるだろさ
だけどぼくらはくじけない 泣くのはいやだ笑っちゃおう
*1

(「ひょっこりひょうたん島」作詞:井上ひさし・山元護久/作曲:宇野誠一郎)
*1 JASRAC 出 1801781-801


 1960年代、大人気となったNHKの人形劇「ひょっこりひょうたん島」のテーマソングの作詞を手がけた劇作家・小説家井上ひさし。劇団「こまつ座」を立ち上げ、自らは座付き作家となり、2010年に亡くなるまでに数多くの戯曲を世に送り出しました。

“苦しみや悲しみ、恐怖や不安というのは、人間がそもそも生まれ持っているものです。(中略)この「生きていく」そのものの中に、苦しみや悲しみなどが全部詰まっているのですが、「笑い」は入っていないのです。なぜなら、笑いとは、人間が作るしかないものだからです。それは一人ではできません。そして、人と関わってお互いに共有しないと意味がないものでもあります。”*2

 井上はこの「笑い」をつくり出すことに、生涯を通して心を砕きました。そしてその「笑い」は「希望としての笑い」(大きな希望につながる小さな希望としての笑い)だと文芸評論家の高橋敏夫は指摘します。*3

 井上が初代館長を務めた仙台文学館には、その軌跡を紹介する展示コーナーがあります。職員の三條望さんは、ある時お客様から、井上ひさしは複雑な生い立ちなのに、どうしてあんなに楽しくて笑える作品を書くことができたのだろうと質問をされたことがあったと言います。「落語家を主人公にした井上の戯曲『円生と志ん生』に、噺家は〈貧乏を笑いのめしてステキな貧乏に変えてしまう。悲しいことをステキな悲しさに変えてしまう。〉というセリフがあります。井上は、物事の見方や状況を変えることのできる〈笑い〉の力を信じ、人生の苦難や大変さもステキなものに変えようとしたのではないでしょうか」と三條さん。

“笑いは共同作業です。落語やお笑いが変わらず人気があるのも、結局、人が外側で笑いを作って、みんなで分け合っているからなのです。”*2

 学芸員の本多真紀さんは「お笑いやお芝居などの舞台をみんなで見て一斉に笑うということが大事なのだろうと思います。劇場って不思議な空間ですよね」と言います。井上自らが講師となり、人気を集めた戯曲講座でこの「みんなで分け合う」ことで生まれる独特な雰囲気の効用を、井上は面白おかしく物語に仕立て受講生に熱く語り、一人でも多くの方が劇場に足を運ぶことを願ったのでした。

*2『ふかいことをおもしろく 創作の原点』井上ひさし/PHP研究所
*3『井上ひさし 希望としての笑い』高橋敏夫/角川SSCコミュニケーションズ


◇井上ひさしの作品を味わう こまつ座公演 「父と暮せば」

演出:鵜山 仁  出演:山崎 一、伊勢佳世
開催日:2018年7月14日(土)  会場:日立システムズホール仙台 シアターホール
※開演時間、チケット料金、発売日などは未定です。詳細は仙台文学館(TEL 022-271-3020)にお問い合わせください。


◇井上ひさしのことばに触れる 企画展「井上ひさしの国語教室」井上ひさし資料特集展vol.7

2018年4月8日(日)まで開催中 会場:仙台文学館 企画展示室(仙台市青葉区北根2-7-1)

企画展の「井上ひさし〈本の十徳〉」コーナーにて。井上がエッセイに記した〈本の十徳〉を体験できる。三條さんが腰かけているベッドでは「本は枕にちょうどいい」を試すことができる。
こちらは「服装をきちんと格好よく見せられる」実技中。トレンチコートのポケットに重しがわりに文庫本を入れると様になる?とのこと。
常設展示室「井上ひさし 一本の巨樹」。直筆原稿や愛用の品々を見ることができる。(撮影:伊藤トオル)
撮影:佐々木隆二

井上ひさし

1934年山形県東置賜郡小松町(現:川西町)生まれ。1949年仙台市の光ケ丘天使園(現:ラ・サール・ホーム)に入る。仙台第一高等学校に入学し卒業までを仙台で過ごす。上智大学卒業後、放送作家として創作活動をスタートし、以後戯曲、小説、エッセイ等幅広い分野で膨大な作品を執筆。1984年に劇団「こまつ座」を旗揚げ、数多くの戯曲を書き下ろし上演した。1998年から2007年まで、仙台文学館の初代館長を務めた。2010年4月9日、肺がんのため死去。

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『季刊 まちりょく』は、(公財)仙台市市民文化事業団が2010~2021年に発行していた情報誌です。市民の方が自主的に企画・実施する文化イベント情報や、仙台の文化芸術に関する特集記事などを掲載してきました。『季刊 まちりょく』のバックナンバーは、財団ウェブサイトの下記URLからご覧いただけます。
https://ssbj.jp/publication/machiryoku/