あらためて七夕

『季刊まちりょく』vol.39掲載記事(2020年6月20日発行)※掲載情報は発行当時のものです。

仙台では「たなばたさん」として親しまれている七夕まつり。
今年は新型コロナウイルス感染症の感染拡大を防ぐため、街をあげてのお祭りは開催中止となりました。
そんな今こそ、おうちで七夕についてあらためて学びませんか。
七夕の歴史と七夕飾り、また様々なかたちをご紹介します。


歴史と変遷

 もともと中国で行われていた「七夕」は、みなさんご存じ、牽牛(けんぎゅう)星と織女(しょくじょ)星の年に一度の再会を祝う星まつりと、裁縫や技芸の上達を願う乞巧奠(きっこうでん)とが一緒になったものでした。

 これが日本に伝わり、宮廷行事から幕府の公式行事へ、武家、そしてさらに民間へと広まっていく中で、古来7月7日に行われてきた祖霊を祀る準備に入る斎日(いわいび)の行事と合流したようです。田の神を迎え入れ秋には無事に収穫出来ることを願って「棚機津女(たなばたつめ)」と呼ばれる女性が水辺に作られた機織り小屋で御衣を織り神に捧げていたことから、「七夕」と書いて「たなばた」と読むことに繋がったと考えられています。

江戸時代

 幕府の公式の年中行事「五節句」のひとつと定められ、武家でも七夕の行事が行われるようになりました。そこから次第に庶民の間にも広まっていったものと考えられています。

 現在一般にみられるかたちのもとになったのは、江戸の町々で元禄の頃から流行した、笹竹に古歌を書いた五色の短冊や願い事をあらわす飾りを付けたものでした。旧来の技芸の上達を願うもののほか、豊作・豊漁や商売繁盛など、思い思いの願いごとをあらわす飾り付けが家ごとに作られていたようです。

 仙台でもこの形が取り入れられ、6日の晩に飾りつけをし、7日の朝に笹と一緒に川へ流しました。川では、盆に入る準備として禊(みそ)ぎの水を浴びたり、洗い物をすることもあったようです。

歌川広重「名所江戸百景・市中繁栄七夕祭」
出典:Metropolitan Museum of Art,CC0

明治時代~大正時代

 これまで使用されてきた暦より1か月ほど早い新暦の導入と、公式行事としての五節句が廃止されたことにより、七夕の文化はだんだんと廃れていきます。しかしながら、仙台では依然、旧暦の日付にあわせて家ごとに守られたほか、学校・裁縫学校などでも連綿と文化が受け継がれていきました。

 また、商店が多くあった大町や国分町、明治時代以降に商店街となった東一番丁や遊郭が作られた常盤町(現在の市民会館付近)などでは、客寄せのために大型の七夕飾りも作るようになります。その中では工夫の凝らされた新しい飾り付けも数多く登場しました。

 年中行事は旧暦のまま行ったり新暦に合わせて行うなどまちまちでしたが、仙台の七夕は1910年から月遅れの8月6日から7日にかけて行うようになります。


旧暦7月7日は1910年では新暦の8月11日、2020年では新暦の8月25日です。

明治43年(1910)絵葉書「(仙台)新横丁芸妓屋通 七夕の賑」(仙台市歴史民俗資料館蔵)
大正12年(1923)8月6日「仙台虎屋横丁の七夕飾り」(『河北画報』第5巻第8号 仙台市歴史民俗資料館所蔵)

昭和初期

 商店街で夏のお中元の連合大売り出しの呼び物のひとつとして、豪勢な七夕飾りが作られはじめます。1928年には飾り付けの審査・表彰も行われるようになり、年々規模も飾りも大きくなっていきましたが、戦争のあおりを受け1939年より一時中断を余儀なくされました。

昭和29年(1954)8月 仙台七夕祭(ウォルター・ポンザール撮影スライドより 仙台市歴史民俗資料館蔵)

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飾りつけについて

仙台七夕といえば七つ飾り。
どのようなものがあるのか、ここでおさらい。

仙台七夕の七つ飾り

短冊
学問や書の上達
紙衣
病や災いの身代わり、裁縫の上達
折鶴
延命長寿を願う
巾着
富貴と貯蓄、商売繁盛
投網
豊漁豊作
くずかご
清潔と倹約(飾りつけをつくる際に出た紙屑等を入れる)
吹き流し
織女星の織り糸を象徴する。機織や技芸の上達

七つ飾りのほかにも多くの人に愛された飾りがあります。

くす玉
昭和10年頃に遊郭で人々の工夫によって出現したと考えられています。現在では七夕飾りのメインとして、吹き流しなどと共に飾られます。
スイカ行灯
家々の飾りつけによく使われていた飾りです。豊作祈願の提灯はスイカのほか、ナスなどの野菜をかたどったものもあったようです。
七夕線香
盆行事に連なる七夕の側面のひとつとして、迎え火の役割を担っていたと考えられます。吹き流しに一本一本線香をつけるなどして飾られていましたが、火災のおそれがあるため現在では基本的に行われていません。

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七夕のかたち、それぞれ

七夕のまつり方にはたくさんのかたちがあります。ここで紹介するものはすべて宮城県内で行われているもの。見たことがありますか?

仕掛物(しかけもの)(仙台市歴史民俗資料館蔵)
からくりで動く張り子や人形など。近年では舞台をつくり、劇などを上演することも。題材はいろいろで、ナスや魚などをはじめ世相を反映したものなどさまざまに取り上げられます。
タナバタウマ(仙台市歴史民俗資料館蔵)
家などで作られていたコモクサ製もしくはワラ製の馬を模したもの。田の神の乗り物であるとされ、母屋や馬屋の屋根にのせて豊作を祈りました。
盆栽七夕(提供 根白石市民センター)
鉢に植えた竹に様々の七夕飾りをつけたもの。泉区の根白石では地域を挙げて制作しており、七夕の時期には町のいたるところで見ることができます。
金津(かなづ)七夕(提供 角田市郷土資料館)
角田市金津地区に伝わる七夕行事。竹に提灯を数個つけた竿灯を持った子どもたちが笹飾りを飾るなどした道を練り歩き、子どもの無事成長や豊作、虫除けなどを祈願します。
※県指定無形民俗文化財、および国の記録作成等の措置を講ずべき無形の民俗文化財に選択されています

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関連イベント

これまでに開かれてきた七夕関連イベントの一部をご紹介します。

●2017年7月27日開催 開催館:せんだい3.11メモリアル交流館
「手芸で七夕飾りをつくろう」
講師:手作りサークル「マートル」

 若林区東六郷地区にお住まいだった方々を中心に結成された手づくりサークル「マートル」の皆さんに、手芸による七夕飾りの作り方を教えていただきました。今回のために考案していただいた、針を使わずに作ることができる「吹き流し」と「巾着」をつくりに沢山の人が訪れました。

●2017年8月6日~8月8日 開催館:地底の森ミュージアム
「石器で七夕の短冊をつくろう」

 石器で紙を切れるかチャレンジ。石器で短冊を切って、竹に吊るしてお願いごとをしました。短冊は七夕飾りと一緒に8月中旬までラウンジに展示しました。

●2018年6月9日開催 開催館:せんだいメディアテーク
「あらためて知りたい祈りと紙のまつり“七夕”」
講師:佐藤正実(風の時編集部)

 「雑がみ」を使って工作する「ワケあり雑がみ部」では、「仙台七夕まつり」期間中に成果発表展を開催しています。講座では紙にゆかりの深い七夕の、飾りの由来や歴史などを学びました。
成果発表展では、その知識を活かした個性豊かな七夕飾りがたくさん登場しました。

ワケあり雑がみ部とは?
不要物を活用した作品づくりで知られるアーティスト藤浩志を部長とし、仙台市が収集するリサイクル資源「雑がみ」を使って活動する市民参加型の部活動。

2018年の成果発表展

さらに詳しく知りたいときは・・・

●2020年7月4日(土)~8月23日(日) 開催館:仙台市歴史民俗資料館
季節展示「七夕と盆」

 仙台では月遅れの8月に七夕と盆の行事が行われます。季節展示「七夕と盆」では、過去の「仙台七夕まつり」の変遷を写真資料でたどり、年中行事が観光化されていく過程と、タナバタウマなどにみられる農村などの七夕行事の豊かな世界を紹介します。盆については、仙台周辺でみられる祖霊をお祀りする盆棚の復元展示から盆についてご紹介します。

仙台市歴史民俗資料館:宮城野区五輪1-3-7 ☎022-295-3956
開館時間9:00~16:45(入館は16:15まで)

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