インタビュー
直して使い続ける仙台箪笥
そこから見えてくるもの
塗師・有限会社長谷部漆工 代表取締役
長谷部嘉勝
新たな家具を買い求める人がいる一方、明治期や大正期の仙台箪笥(せんだいたんす)を直して使い続ける人がいる。江戸末期に創業した長谷部漆工の12代目となる塗師(ぬし)長谷部嘉勝さんの下には、代々が手がけてきた箪笥の直しも持ち込まれることがあるという。明治、大正、昭和、平成、令和へと時代を超えてきた箪笥からは、持ち主の歴史や技法の変遷も知ることができる。仙台箪笥を使い続ける喜びは、どのようなところにあるのだろう。作る、直す工房から、その背景をうかがった。
掲載:2025年1月10日
取材:2024年7月
- 長谷部 嘉勝 はせべ・よしかつ
- 仙台箪笥塗装部門の伝統工芸士、1860(万延元)年創業の長谷部漆工12代目。木工、漆工、金工の分業によって作られる仙台箪笥の中で、漆塗り部門を担当。さまざまな技法を身につけ、後身を育成。漆塗り加工だけでなく修理・再生も手がける。仙台箪笥協同組合の副理事長として、現代の暮らしに合うよう仙台箪笥の技法を用いたスピーカーを制作するなど、次の時代にも生きる技術の継承に向けた環境づくりも行う。初期の仙台箪笥、時代や地域によって異なる錺(かざり)金具などを、数多く収集。仙台箪笥の歴史的背景にも詳しい。