ドイツ・ベルリンを拠点に活動するアーティスト/研究者のフロリアン・ゴールドマンは、東日本大震災における津波ならびに原発事故についてのリサーチを2013年より継続して行っており、その成果を「大災害のモデル(Modeling Catastrophe)」としてドイツ国内外で複数の展覧会や論考として発表しています。仙台には、2015年開催の国連防災世界会議への参加のほか、2018年にも沿岸部リサーチのため滞在した経験があり、今回の展覧会開催が実現しました。
本展「プロメテウスの飛躍」もまた、壊滅的な出来事を、表現、伝達、追悼、予測する手段としての「モデル/模型」(「model」の語源は「尺度」)の利用に関する、継続的な視聴覚調査の一環として開催します。プロメテウスはギリシャ神話に登場する神の一人で、非常な知恵者として知られており、天界の火を盗んで人間に与えたとされています。
今回の展示では、戦後日本における技術信仰とそれにより生まれた安全神話というリスク、そして東京ディズニーランドの発展と資本・金融リスクという一見異なる二つの事例を、プロメテウスの飛躍になぞらえ、結びつけながら思考する試みとなります。
会場では、日本国内の歴史アーカイブ資料や映像資料を用いた映像インスタレーション作品を展示するほか、会期中には現在進行形の研究についてアーティストが解説するトークも開催します。
東日本大震災から11年を経て記憶が風化するなかで起こったパンデミック、あるいはウクライナ侵攻といった度重なる巨大なリスクのなかで、我々が生き抜く術とは果たしてなんなのか、見いだす契機となれば幸いです。
○アーティストトーク 12月3日(土)14:00-15:30
言語:主に英語 予約不要